ストレスチェック制度は、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みですが、働きやすい環境を整え、企業の生産性を向上することも大切な目的のひとつです。
しかし、多くの人事・労務担当者様から「ストレスチェックの結果をどう活かせばいいのかわからない」「分析レポートは届くけれど、職場環境の改善まで手が回らない」というご相談をいただきます。
そういった課題を解決するには、データを活用した「集団分析」が不可欠。とはいえ、集団分析とはどういうもので、どう活用するのか?と問われると、答えられない方も意外と多いのではないでしょうか。
本記事では、ストレスチェック+集団分析について基礎から解説していきます。
ストレスチェック集団分析とは?
ストレスチェックの集団分析とは、従業員個人の結果を部署やグループごとに集計し、その傾向を「集団」という単位でデータ分析・可視化する手法です。
受検結果は個人の主観に基づくデリケートな情報であり、事業者が本人の同意なしに確認することはできません。しかし、データを統計的に処理して扱うことで、個人のプライバシーを完全に守りながら、職場特有のストレス状況や潜在的な課題を客観的に把握することが可能になります。
現在、集団分析は全事業場で「努力義務」とされており、令和6年度の労働安全衛生調査では75.4パーセントの企業が実施したという調査結果が出ています。
しかし、別のアンケート結果では「結果をどう活かせばいいか分からない」「やりっぱなしになっている」と回答する企業が8割となっています。ただデータをとるだけでなく、正しく読み解いてアクションにつなげる視点が不可欠です。
全体の分析とグループごとの分析
集団分析を効果的に活用するためには、データを様々な角度から「比較」することが重要です。基本となる4つの分析視点をご紹介します。
- 【全体像をつかむ】違う属性の部門を比べる
事務部門と工場部門など、働き方が違うグループ同士を比較します。どちらが良い・悪いではなく、「工場は仕事量が多いが、上司のサポートは手厚い」といった、部署ごとの「負担の種類の違い」を明確にします。 - 【深掘りする】同じ属性の部門を比べる
営業A課と営業B課など、同じ業務内容のチーム同士を比較します。業務が同じなのに結果に差が出る理由は、マネジメント(上司の関わり方)やチームの雰囲気にある可能性が高いため、「B課の風通しの良さ」といった成功要因を見つけ出し、他部署へ横展開するヒントにします。 - 【未来を予測する】外部データと掛け合わせる
経営層が知りたいデータを得やすい、一歩進んだ分析です。ストレスチェックの結果と、「離職率」「残業時間」「有給取得率」など別の社内データベースを並べて分析し、メンタルヘルス不調のリスクを経営課題と結びつけて考えます。 - 【変化を追う】経年分析(今年 vs 去年)
「去年と比べて、この部署はどう変わったか?」を時系列で比較します。昨年実施した管理職研修や人員増などの施策が、本当に効果があったのかを数値で答え合わせすることができます。
【長期的な測定で改善効果UP】 情報基盤開発の「ソシキスイッチストレスチェックPROでは、過去数年を比較して分析できるオプションをご用意しています。標準搭載の業界平均値データと比較しつつ、各項目の数値をひも解くことで、自社の健康状態がより鮮明にわかりますよ。
職場改善に直結する3ステップ
集団分析の結果を具体的なアクションに変えるための手順を、3つのステップで解説します。
ステップ1:【準備】受検率の確保(目安は80%以上)
集団分析の精度を高めるためには、十分なデータ量(回答数)が不可欠です。まずは受検率80%の確保を目指しましょう。 受検率を向上させるためには、実施前の「正しい周知」が鍵となります。「回答結果によって人事評価などの不利益な扱いを受けることは一切ない」という点を従業員へ丁寧に説明し、安心して受検できる環境を整えることが大切です。
ステップ2:【分析】自社に合った集団単位で分析する
分析を行うためのグループ(集団)を分ける際は、部署や職種など、実際の業務実態に即した単位で設定します。なお、結果から個人が特定されるのを防ぐため、原則として「1つの集団は10人以上」となるように設計するのが基本ルールです(対象者全員の同意が取れた場合を除く)。
【多角的な分析のために】 弊社の『ソシキスイッチ ストレスチェック PRO』では、10集団までの分析を無料で提供しています。「部署別」「年代別」「職種別」など、さまざまな角度からの集団分析をコストをかけずにお試しいただけます。
ステップ3:【実行】ピンポイントな対策と次年度の効果測定
データから見えてきた根本的な課題に対して、的確なアクションを実行します。例えば「コミュニケーション不足」が原因であれば1on1ミーティングの導入、「業務量の偏り」が原因であれば人員配置の見直しを行います。
最初から大がかりな施策を打つ必要はなく、まずは小さなことでも。具体的なアクションを起こすこと、そして翌年のストレスチェックでそのアクションによって数値がどう変化したかを検証(効果測定)することが、職場改善を成功させる最大の秘訣です。
取組事例
※課題を具体的なアクションで改善につなげた企業のモデルケースです。
- 現場の認識(思い込み)
現場から「業務量が多い」という声が上がっていたため、作業工程の見直しを行いました。しかし、一向に状況は改善しませんでした。 - データによる分析
そこで、集団分析と過去3年分のデータを掛け合わせて調査を実施。すると、不満の本当の原因は業務量そのものではなく、「上司との関係が悪いために確認や相談がしづらく、結果として無駄な時間がかかっていること」だったと判明したのです。 - アクションと改善結果
A社はすぐに対策を切り替え、「丁寧な報告・相談の時間を設ける」「上司側のマネジメント対応を見直す」といったコミュニケーション改善の施策を実行しました。 その結果、職場内の支援に関する数値が向上し「業務量が減った」と言う声があがるようになりました。
以上の例は、データに基づくアプローチがいかに重要かを示す好例です。自社について知りすぎていると、逆に思い込みが発生しているケースもあるため、定期的に却下的な視点で見つめなおしてみると良いでしょう。
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ストレスチェック集団分析の正しい見方や、職場改善につなげるためのステップを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。 単なる「法令対応」で終わらせず、客観的なデータから自社の本当の課題を見つけ出すことで、より働きやすい職場環境を作ることができます。本記事の内容が、少しでもそのヒントになれば幸いです。
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