ストレスチェックの「実施者」とは?
ストレスチェックを行う際にまず必要なことの一つに、「実施者」の選任があります。
実施者とは、ストレスチェックに使う調査票の選定、高ストレス者の判定・評価方法の決定、ストレスチェック結果に基づき医師の面接指導の要否の判断等に関わる人を指します。
ストレスチェックの実施者になれるのは、医師、保健師、一定の研修を受けた歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師です。
- 医師
- 保健師
- 厚生労働省が定める検査を行うために必要な知識についての研修を修了した
歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師
(※平成30年8月9日に歯科医師及び公認心理師が追加されました)
(参照: 厚生労働省令第九十四号 )
また、管理監督者など人事権のある立場の方は実施者になることはできません。実施者だけでなく、社内でストレスチェック事務を担当する「実施事務従事者」にもなることができない旨が法律に明記されています。なお、いずれも守秘義務が課せられ、違反した場合に罰則の対象となります。
小規模事業場における資格要件
「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」によると、 労働者数50人未満の事業場では、原則として、労働者のプライバシー保護の観点からストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されています。
そのため、小規模事業場がストレスチェックを実施する際の実施者は、委託先の外部機関が用意した専門職がその企業のストレスチェックの実施者となります。
なお、事業者は外部委託する際に、
- 実施体制
- 実施方法
- 料金体系
- 面接指導
- 情報管理
これらの事項について事前に外部機関に説明を求めることが重要です。その際に、「サービス内容事前説明書」を外部機関に作成・提出してもらうようにするとよいでしょう。
「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」の「2-2 ストレスチェックの委託先の選定・契約」に詳細が載っていますので、外部機関委託をする場合は参考にしてください。
自社でストレスチェックを実施できる?適任者の選び方と注意点
では、50人未満の小規模事業場は自社で実施者を選んだり、外部機関に頼らずにストレスチェックを実施することはできないのでしょうか。
結論からいうと、ストレスチェックの実施を外部に委託せず、自社で実施することも可能です。ただし、社内で個人のストレスチェック結果の取り扱いが生じるため、プライバシー保護の観点から、事業場内の厳格な体制整備を含めてより慎重な運用を行わなければなりません。
実施者の要件は上記でご紹介したとおり、「医師、保健師、一定の研修を受けた歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師」であることに変わりなく、自社の産業医や産業保健スタッフがいる場合はその方にお願いすることになるでしょう。
自社で実施者を選任しストレスチェックを実施することはできるものの、その選び方そのものというよりも、実施体制の整備に十分な注意を払ったうえで実施することが大切になります。小規模の事業場において自社内で実施者・実施事務従事者を選任し、個人のストレスチェック結果等の健康情報を取り扱おうとする場合の注意点は下記のとおりです。
①実施体制
- 人事に関して直接の権限を持つ監督的地位にある方(社長、人事部長等)はストレスチェックの実施の事務には従事できない等の制限が課されます。
- 実施者(実施事務従事者も同様)は、労働者のストレスチェック結果等の健康情報を取り扱うこととなるため、守秘義務が課されます。(違反した場合の罰則あり)
②ストレスチェックの実施
- 守秘義務が課されることを含めて役割の周知、運用の徹底がなされない限り、事業者に個人情報が容易に把握されてしまうのではないかという不安が生じやすく、ストレスチェック制度への労働者の協力が得られず、適切な実施が難しくなります。
③結果の通知
- 外部委託と比較して、プライバシー保護上のリスク(誤送信・誤配布・人間関係から生じる情報漏洩等の可能性)及びその防止を含めた運用負担(封入・確認・結果通知記録の管理等の事務負担、人的負担)がともに大きくなります。
④面接指導の申出勧奨
- 自社で行う場合は、社内で選定した実施事務従事者が面接勧奨も行うことになります。
- 面接指導対象者だけに職場で封書などを配布すると、面接指導対象者であると他の従業員に伝わってしまう可能性があることから、電子メールで通知する、自宅に封書で郵送する、全員にストレスチェック結果を封書で通知する際に併せて面接指導対象者である旨の通知文も同封して通知するなどの配慮が必要となります。
⑤面接指導の実施
- 面接指導を地産保等の外部機関に依頼して実施する場合、面接指導が社外で完結し、面接指導結果の提供範囲(※)が明確になりますが、自社内で面接指導を実施する場合には、医師を確保した上で、事業者への報告内容の線引きについて整理が必要です(個人情報と就業上の措置に必要な情報が曖昧になりやすいので留意が必要です)
⑥集団分析の実施
- 外部機関が集計・分析を実施して事業場に提供する場合は、個人を特定できない措置(10 人未満は非表示など)が自動的に講じられますが、自社内で集計・分析する場合には、実施者・実施事務従事者が個人を特定できない方法による実施を厳守するとともに、守秘義務の徹底が必要となります。そもそも小規模事業場では社内の人間関係が近いことから、個人特定のリスクが高く、社内で管理していること自体への労働者の不安が生じやすいことに留意が必要です。
⑦結果の保存
- 自社で実施する場合は実施者(医師・保健師等)、実施事務従事者がストレスチェック結果を保存することとなりますが、この場合、事業場内のネットワークのサーバ、保管庫等に保存するとともに、パスワード設定等により、事業者等が閲覧できないようにする等の厳格な情報管理が求められます。
※「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年厚生労働省令第44号)に基づき適切な保存を行う必要があります。
小規模事業場のストレスチェックは外部委託を推奨
このように、50人未満の事業場も外部に委託せずに自社でストレスチェックを実施することは可能ですが、「会社に結果がばれてしまうのでは?」という不安から、従業員に受けてもらうことが難しくなったり、実際にどうしても個人が特定されやすくなってしまうため結果通知の手段や面接勧奨に工夫が必要になったり、プライバシー保護の観点から厳格な管理体制が必要となり担当者の負担が増えてしまうなど、さまざまな点で難しさや負担が生じてしまうことが懸念されます。
これらの理由から、厚生労働省も従業員50人未満の小規模事業場ではストレスチェック実施の外部委託を推奨しているのです。
外部委託を活用して実施者要件をクリア。従業員50人未満の企業様の【導入実績】も多数あり
今後は、50人未満の小規模事業場を含めた全事業場にストレスチェック実施が義務となります。弊社でも義務化以前より、
- 最近、従業員の不調が目立つようになってきた
- 健康経営を推進するために、ストレスチェックを導入したいと考えている
など、中小企業の皆さまからも様々なご相談をいただいていました。その中で、実際に弊社のような外部機関に委託することにより、
- 「実施者を代行してもらえることで安心してストレスチェックができるようになった」
- 「受検のリマインドやストレスチェックの調査票の回収など、担当者の負担が大幅に軽減された」
- 「結果を社内で保管する必要がなく、またプライバシーマーク取得など個人情報の保護・管理体制がきちんとしている外部機関が管理している旨を従業員に周知したことで、ストレスチェックの受検率が向上した」
などの声を多数いただいております。
外部機関への委託で、ストレスチェック実施を安全・安心に、これ以上担当者の負担を増やすことなく導入を検討してみませんか?
参考文献・関連リンク
- 厚生労働省:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル