メインコンテンツへ移動
コラム

【厚労省マニュアル準拠】ストレスチェック義務化対応・実施ガイド

2028年4月1日から、これまで「努力義務」とされていた従業員50人未満の事業場においても、ストレスチェックの実施が完全に義務化されます。

専任の担当者がいない現場では、通常業務と並行して新しい仕組みを導入することに、相応の労力が伴うものです。こうした状況をサポートするため、2026年2月に厚生労働省から『小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル』が発表されました。 本記事ではこの最新マニュアルの内容をベースに、実務で大切にしたいポイントを整理しています。

基本:ストレスチェック制度とは?

ストレスチェック制度は、アンケート形式の調査票を用いて、従業員の皆さんがご自身のストレス状態を定期的に確認するための仕組みです。不調者を見つけ出すためではなく、メンタルヘルスの悪化を未然に防ぎ(一次予防)、誰もが安心して働ける職場をつくるための「心の健康診断」として活用されます。

制度を支える3つのプロセス

この「未然に防ぐ」という目的を実効性のあるものにするため、制度は以下の3つのサイクルで構成されています。

  1. アンケート回答(気づき):従業員が「個人の結果データ」を確認して、自分のストレス状況を客観的に把握。セルフケア意識を高めます。
  2. 面接指導(相談):高いストレスが認められた受検者には医師との面接をすすめ、本人が希望した場合には面接を行います。
  3. 職場環境改善(対策):面接を通した医師の意見や、「会社全体」「部署ごと」といった単位の集団分析データを参考に、職場環境の改善を実施します。

最近、特に重視されているのは「3.職場環境改善」です。たとえ個人の意見を吸い上げても、職く環境自体が変わらなければ効果は薄いまま。「働き方の見直し」「設備の導入」といった具体的なアクションを行うことで、離職の防止や生産性の向上といったメリットが生まれやすくなります。

義務化の対象か判定する(労働者のカウント方法)

実務のアクションを起こす前に、まずは自社が今回の義務化の対象であるかを確定させる必要があります。本マニュアルが対象としているのは、「常時使用する従業員が50人未満」の事業場です。

カウント方法は以下の基準を参考にしてください。

  • 正社員:期間の定めのない契約、または1年以上使用予定の方。
  • パート&アルバイト:週の労働時間が、通常の従業員の4分の3以上の方
    ※週の労働時間が通常の半分(2分の1)以上の方についても、実施することが推奨されています。
  • 派遣従業員:派遣元に実施義務がありますが、派遣先(自社)でも同様に受検を勧めることが、職場の一体感を醸成する上でも望ましい形です。

報告義務について

従業員数50人未満の事業場においては、労働基準監督署への実施結果の報告義務はありません。

ただし、報告義務の判定(事業場規模の算定)には短時間従業員や派遣従業員も含まれます。例えば、「検査対象(週の半分以上出社している従業員)は40人だが、短時間従業員や派遣従業員を入れると常時50人以上働いている」という事業場の場合、労基署への報告義務が発生します。

従業員数が50人前後の事業場はこの点に注意してください。

準備①:まずはルール作りから

いきなり検査を始めるのではなく、まずは社内のルールづくりからスタートします。従業員の信頼を得ることがスムーズな実施につながるので、しっかり土台を固めていきましょう。

①事業者による方針の表明

まずは経営者がストレスチェックの導入~実施を社内に宣言します。受検は任意であるため、受検率を確保するには「プライバシーの厳守」と「回答によって不利益な扱いは一切しないこと」を明言し、理解を得ることが不可欠です。

【そのまま社内に送れるメッセージ例】
「当事業場では、皆さんが健康でいきいきと働ける職場環境づくりのため、法令に基づきストレスチェックを導入します。これは不調者を見つけ出すことが目的ではなく、皆さんのストレスへの気づきを助け、職場環境を良くするためのものです。
個人の結果は直接本人に通知され、本人の同意なく会社が知ることはありません。また、結果や面接指導の申し出を理由に、配置や評価で不利益な扱いをすることは一切ありませんので、安心して受検してください。」

②関係従業員の意見聴取

ルールの詳細を固める前に、実施体制や方法について従業員の意見を聴く機会を設けます。すでに衛生委員会があればその場で、ない場合は朝礼や定期的なミーティングの時間を使って現場の声を吸い上げるようにしましょう。

③社内ルールの作成・周知

意見を聴きながら、以下の6項目を盛り込んだ社内ルールを定めます。

  1. 実施体制(誰が担当し、どこに委託するか)
  2. 実施方法(いつ、どの質問票を使って判定するか)
  3. 記録の保存(結果をどこに保管するか ※5年間の保管が推奨)
  4. 情報管理(誰がどう守秘義務を守るか)
  5. 情報の開示等(従業員からの苦情や問い合わせにどう対応するか)
  6. 不利益取扱いの禁止(不当な扱いをしない約束を明記)

これらは掲示板や書面で全員がいつでも見られるようにしておきましょう。

準備②:スムーズな体制づくりへ

次に、実務を動かすための組織体制を整えます。実施にあたっては多岐にわたる決定事項があり、機微な個人情報を扱うため、厚生労働省のマニュアルでは「外部機関への委託」が推奨されています。

(PDF2-1)より引用
従業員数50人未満の事業場においては、原則として、従業員のプライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されます

必ず選任すべき担当者の役割

自社で行うor外部委託するに関わらず、ストレスチェックを実施する際は下記の担当を選任する必要があります。外部を選ぶ際は「実施者や実施事務従事者を用意してもらえるか?」という点に注意してください。

  • 実務担当者
    【役割】実施計画の策定、外部機関との窓口、社内のスケジュール管理
    【ポイント】人事権を持つ社長や上司が務めても問題ありませんが、従業員個人の判定結果を直接見ることはできません
  • 実務担当者
    【役割】使用する質問票の選定(57項目版?80項目版?)、高ストレス者の判定基準の決定
    【ポイント】医師、保健師、研修を受けた看護師、公認心理師などに限られます
  • 実施事務従事者
    【役割】質問票の回収、データ入力、結果通知、面接の申出勧奨などの事務
    【ポイント】人事に関して直接の権限を持つ人(社長、人事部長など)は、この役割にはなれません

小規模な職場では数多くの仕事を兼務することも多いかと思いますが、「経営者自ら入力や発送を行う」といった形で実施すると法律違反のリスクがあります。 従業員が回答しやすくなるという点からも、外部機関を利用し、第三者に事務を任せることが推奨されています。

「外部機関」「面接医師」の選び方

外部機関を選ぶ際は以下のポイントを確認しましょう。
厚生省マニュアル内の「サービス内容事前説明書」に必要項目と重要事項の記載がありますので、こちらを活用してみてください。

確認項目チェックポイント
実施体制自社で用意することが難しい「実施者(医師等)」や「実施事務従事者」を適切に配置してもらえるか。
実施方法希望する実施方法に対応しているか。WEB版と紙版の併用、複数拠点の対応、事務代行、外国語への対応など。
料金体系基本料金に含まれる範囲。集団分析のような基本機能が「オプション(追加料金)」になっていないか。
面接指導高ストレス者への面接指導を委託先で手配できるか。対面、あるいはオンライン面談が可能か。
情報管理プライバシーマークやISMSの取得状況。データの暗号化などセキュリティ対策が万全か。


従業員数50人未満の事業場では、産業医を専任していないケースも多いと考えられます。その場合、外部機関のオプションを利用するか、全国に設置されている「地域産業保健センター(地さんぽ)」を無料で活用し、面接指導の医師を確保することも有効な選択肢となります。
※ストレスチェック実施や実施者の選任を依頼することはできません

実施:具体的な手順4ステップ

準備が整ったら、いよいよ実務のメインイベントである検査に進みます。

①実施時期と調査票(アンケート)の決定

ストレスチェックは1年ごとに1回、定期的に実施します。精度の高い集団分析を行うためにも、部署やチーム単位でなるべく同時期に行うことが望まれます。

調査票は国が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目版)」を使うのが標準的ですが、ハラスメント等の項目を含む80項目版を選択することも可能です。PCやスマホで答えるWEB方式か、1人1台の端末がない現場に適した紙の調査票か、職場のIT環境に合わせて回答方法を選択してください。

②配布・回収と受検の促し

従業員が戸惑わないよう、事前に実施時期や委託先を社内に予告した上で配布・回収を進めます。受検は義務ではありませんが、未受検者へ受検を促す勧奨を行うことは可能です。ただし、健康情報に関するデリケートな情報提供のお願いであり、業務命令として強要してはいけないため、言葉選びには細心の注意を払ってください。

外国籍の従業員がいる場合は、外国語版の調査票を用意するなどの配慮も求められます。

③結果の通知

検査結果は、外部機関から従業員本人へ直接通知されます。通知には、ストレスプロフィールや高ストレス判定の結果だけでなく、「医師の面接指導が必要かどうか」も必ず含めなければなりません。

社内で封書を配布する場合、特定の高ストレス者にだけ手渡すような行為は、周囲に判定を推測させる原因となります。全員に一斉に渡す、あるいは電子メールを活用するなど、内容が他人に分からない方法を徹底してください。

個人レポートサンプル(ソシキスイッチストレスチェックPRO)

④結果の保存

個人の判定結果は、法令上、本人の同意がない限り事業者が受け取ることはできません。結果の保存は外部機関の実施者または実施事務従事者が行います。

外部機関に「5年間」保存させることを契約に含め、会社の手元にはデータを置かない運用にするのが最も確実です。委託先との契約に際しては、この保存義務も委託内容に含まれているか必ず確認しましょう。

医師の面接指導と事後措置

ストレスチェック実施後、最も重要なのが「高ストレス者」への対応です。

面接指導の勧奨

検査結果の通知と同時に、医師の面接指導が必要と判定された従業員に対して、申出を行うよう勧めます。小規模な職場では、誰が高ストレス者か周囲に分からないよう、この勧奨も外部機関から直接本人へ、メールや封書で行うのが鉄則です。

医師の意見を聴き、就業上の措置を行う

医師による面接指導が行われた後、事業者は遅くとも1ヶ月以内に医師から意見を聴取しなければなりません。
その意見に基づき、以下の区分に従って必要な配慮を行います。

医師の意見区分内容会社が講ずべき措置の例
通常勤務通常の勤務でよい特になし
就業制限勤務に制限が必要労働時間の短縮、出張の制限、時間外労働の制限、労働負荷の制限、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少又は昼間勤務への転換等
要休業勤務を休む必要がある休暇や休職による一定期間の療養

あわせて、面談窓口以外の外部相談窓口についても、従業員に情報提供しておくことが望まれます。

結果の活用:「集団分析」を読み解き職場環境改善へ

ストレスチェックをさらに意味のあるものにするためには、組織全体の傾向を把握する「集団分析」が有効です。

集団分析とは、部署などの集団単位で結果をまとめて分析し、職場全体のストレスの原因を探ること。実施事務従事者以外はプライバシーの観点から個人の結果を見らないため、こうした方法がとられます。
ただし集団分析でも人数が少なすぎると個人が特定されてしまうリスクがあるため、原則として受検者10人以上でまとめる必要があります。

集団レポートサンプル(ソシキスイッチストレスチェックPRO)

ただし、人数が少なすぎると「これは誰の回答か」が推測されてしまうリスクがあるため、原則として受検者10人以上の集団で分析を行います。分析結果をもとに、具体的な環境改善策に役立てます。

<職場環境改善の例>

  • 例①:「仕事の質・量」の負荷が高い→長時間労働の解消のため業務効率化を検討~実施。
  • 例②:「職場環境」の負荷が高い→夏場の気温が過酷な現場にスポットクーラーを設置した。
  • 例⓷:「身体的負担」と「職場環境」の負荷が高い→5か年計画で遮熱塗料を塗装し、工場内の水銀灯103基を全てLED灯に交換して暑さを改善。
  • 例⓸:「上司の支援」が低い→上司が多忙でなかなか相談にのることができないため、小グループごとに権限と技術を持つサブリーダーを設置し、細かい指示を代行できるようにした。高ストレス者の割合が減少し、また疾病で休む日数も減少。
  • 例⓹:「同僚の支援」が低い→2時間のグループ討議で「情報周知のためのホワイトボードの設置」他チームの情報を得るための情報交換会」の2つが提案され、実行。職場の一体感とワーク・エンゲージメントの点数が上昇した。

なお、厚生労働省のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」には職場改善のためのヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)が掲載されています。あわせてご参照ください。

まとめ

「2028年までにやらなければならない」という義務感だけで取り組むと、ストレスチェックは単なる事務負担になってしまいます。早めに準備して正しく運用すれば、「従業員がどこで何に苦しんでいるのか」という組織のボトルネックを可視化する貴重なツールになります。

人材不足が深刻化する小規模事業場において、一人ひとりのメンタルヘルスを守ることは、離職を防ぎ、生産性を高めるための投資でもあります。せっかく法的義務を理由に全従業員に呼びかける機会ですから、本格的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

まずは信頼できる外部機関を見つけ、「サービス内容事前説明書」を取り寄せるところから。ご興味がございましたら、ぜひ弊社のストレスチェックサービス導入をご検討ください。

参考文献・関連リンク

資料請求・お問い合わせ

個人情報・送信情報の取扱いについて

資料のダウンロードを希望される方は以下の「個人情報の取扱いについて」をご確認の上、ご同意をお願いいたします。


【個人情報の取扱いについて】

  • 1)事業者の名称 株式会社情報基盤開発
  • 2)個人情報保護管理者の職名、所属及び連絡先
    業務部 業務部長 03-3868-3363
  • 3)個人情報の利用目的
    株式会社 情報基盤開発からのご案内(イベント・セミナー、メールマガジン等のニュースレター、製品、サービス情報の紹介など)に活用させていただきます。
  • 4)個人情報の第三者提供について
    取得した個人情報は、本人の同意がある場合または法令に基づく場合を除き、株式会社情報基盤開発以外の第三者に開示・提供することはございません。
  • 5)個人情報の取扱いの委託
    取得した個人情報の取扱いの全部又は一部を委託する場合がございます。委託する際は、個人情報の安全管理が図られるよう、委託先に対して必要かつ適切な監督を行います。
  • 6)個人情報の開示等の請求
    ご提供いただいた個人情報の利用目的の通知、開示、内容の訂正、追加、削除、利用の停止、消去又は提供の拒否(以下、「開示等」という)、苦情・ご相談の請求は下記までご連絡下さい。
    【問合せ先】
    株式会社情報基盤開発 個人情報苦情及び相談窓口
    〒113-0034 東京都文京区湯島4-1-11 南山堂ビル3階
    TEL:0120-922-552
  • 7)個人情報を提供されることの任意性について
    個人情報の提供はご本人の任意性に基づくものですが、株式会社情報基盤開発が必要として指定した情報をご提供いただけない場合、適切な対応ができない場合があります。
  • 8)ダウンロードの際にcookie情報(ブラウザ情報、端末情報)を取得します。

取得した個人情報は、個人情報の取扱いに関する法令、国が定める指針その他の規範を遵守し、弊社のプライバシーポリシー(https://www.altpaper.net/privacy/)に則って厳重な管理と適切な取扱いを行います。

オンラインプレゼン
閉じる

電話とインターネットを利用して、資料をご覧いただきながらサービスについてご説明させていただきます。

商談のご予約はこちら

問合せフォームよりご希望の日時をお知らせください。追って担当よりご連絡させていただきます。

接続番号の発行はこちら

リンク先のページで表示される接続ナンバーを担当へお伝えください。

接続ができない場合はこちら