厚生労働省は2026年5月18日、50人未満事業場のストレスチェック義務化について「2028年4月1日から」と発表しました。いよいよ義務化へのカウントダウンが始まるなか、具体的な対応の進め方について模索されている担当者の方も多いかと思います。
本記事では、法改正の最新スケジュールや罰則リスクの考え方など、実務で気になる情報を整理しました。制度開始に当たり、初めてストレスチェックを行う場合のポイントをまとめましたので、ぜひお役立てください。
50人未満のストレスチェック義務化の背景
2015年に創設されたストレスチェック制度は、これまで「常時使用する労働者が50人以上」の事業場において実施が義務付けられ、50人未満の事業場については努力義務とされてきました。

上記資料をもとに、情報基盤開発で作成
正式に義務化が決まった背景には、メンタルヘルス不調による労災件数の多さがあると考えられます。厚生労働省「業務災害に係る精神障害に関する事案の労災補償状況」によると、令和6年度の労災支給決定件数は1,057件と過去最多を記録しました。

上記資料をもとに、情報基盤開発で作成
一方、50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施率は34.6%(令和5年時点)にとどまっており、今後は事業規模を問わず、すべての働く人の安全と健康を守るための意識向上が望まれます。
いつから始まる?法改正の対象とスケジュール
ストレスチェックの義務化は2028年4月1日から。余裕をもって実施計画を進めるなら、以下のようなスケジュールが考えられます。(厚生労働省が推奨する外部委託での実施前提)
~2026年中:改正法成立・手引き公開
法改正/公的支援制度の情報収集/外部委託先の比較検討
2027年:計画立案・試験導入
外部委託先の選定/実務担当者の選定/情報管理方法の決定/従業員への周知/実施後の改善計画立案
2028年4月1日~:本格実施(義務化開始)
ストレスチェック実施/回答結果の活用
特に優先すべき事項としては、「委託先の選定」「実務担当者の決定」。この2点が決まれば実施イメージが比較的把握しやすくなるため、早めに検討を進めることをお勧めします。
実施しない場合の罰則・リスク
現行の制度において、ストレスチェック自体を実施しなかったことに対する直接的な罰則規定はなく、労働基準監督署への「実施状況の報告義務」のみとなっています(怠った場合、虚偽の報告をした場合には50万円以下の罰金が科される可能性あり)。
また50人未満の事業場における義務化後の報告義務の扱いについては、今後の政令や省令の発表を待つ必要がありますが、仮に義務なしとなった場合でも、以下のようなリスクが発生します。
- 安全配慮義務違反に問われる法的リスク
義務を怠りメンタル不調者が出た場合、損害賠償請求や訴訟など法的リスクに発展することもあります。 - 行政による是正指導
労働基準監督署などから是正勧告や指導を受ける可能性があり、事業場の管理体制が問われます。 - 人材流出・採用難
「健康管理を軽視する企業」というイメージは、離職率の上昇や採用活動への悪影響につながります。
法令上の罰則の有無にかかわらず、労働者の健康を守ることは企業の持続的な成長において不可欠な要素と言えます。特に小規模事業場では1人当たりの業務範囲が広く、代替人材の獲得が難しい傾向があるため、休職・離職予防のメリットは大きいと考えられます。
今すぐすべき準備と対策のファーストステップ
全事業場でのストレスチェック義務化に向けて、小規模事業場が円滑に対応するためには、早期の体制づくりが推奨されます。厚生労働省は、小規模事業場に即した実施体制・手法に関するマニュアルの作成や、医師による面接指導の受け皿となる「地域産業保健センター(地さんぽ)」の体制拡充など、サポート体制を強化する方針を示しています。 企業の実務担当者が今すぐ取り組むべき準備としては、以下のステップが考えられます。
- 社内での方針決定と衛生委員会等(または労使間の話し合い)でのルール策定
- ストレスチェック実施者(医師や保健師等)や外部委託機関の選定
- 高ストレス者に対する面接指導の受け皿となる地域産業保健センター等の情報収集
まずは自社の現状を把握し、信頼できる専門機関や外部サービスへの相談から始めることが、スムーズな制度導入への近道となります。
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